ACHIEVEMENT
ソデイカの生涯にわたる輸送・回遊経路を解明した論文が掲載されました
2023.09.29
世界の熱帯域に生息し、沖縄県などで重要な漁獲対象となっている大型のイカ、ソデイカ(Thysanoteuthis rhombus)が海中でどのように移動しているのかは長らく謎とされてきました。そこで、私たちは2021年から2022年にかけて、沖縄、小笠原諸島周辺、日本海、東シナ海で採集されたソデイカについて、水晶体の化学分析(安定同位体分析)を行い、生涯にわたる移動履歴を推定しました。その結果、ソデイカの大きな移動は主に幼生期に海流に輸送されることで起こり、成体になると、大きなヒレを持つにも関わらず、長距離の回遊は行わないことが示唆されました。また、日本海・東シナ海で獲れたソデイカはほとんどが黒潮の外側(大陸側)に起源を持つ一方で、沖縄・小笠原諸島周辺のソデイカは、黒潮の外側と内側、さらには内側の南部、北部など様々な起源を持ち、複雑な混合パターンを示すことがわかりました。このように,水晶体の分析は様々な海洋生物の移動様式を理解する上で,非常に効果的な道具であると言えそうです。
研究内容詳細
論文情報
雑誌:ICES Journal of Marine Science
題名:Stable isotopes in eye lenses reveal migration and mixing patterns of diamond squid in the western North Pacific and its marginal seas
著者:Tatsuya Sakamoto*, Sachiko Horii, Taketoshi Kodama, Kazutaka Takahashi, Atsushi Tawa, Yosuke Tanaka, Seiji Ohshmio
DOI: doi.org/10.1093/icesjms/fsad145
URL: https://tinyurl.com/4r3b5dun