ACHIEVEMENT
マサバの成長と個体数変動のモデル化に関する論文が掲載されました
2023.04.12
マサバは、太平洋沿岸域に広く分布する重要な水産資源の一つですが、資源量は気候変動や漁獲圧の影響を受けて変動することが知られています。これまで、マサバの成長-回遊モデルを開発し、過去のマサバの仔稚魚の成長を再現していましたが、その後の成魚までの成長や産卵に関するモデルは存在せず、マサバの個体数(人間の人口に相当)変動を成長、漁獲圧、産卵と同時に解析できるツールはありませんでした。
そこで、マサバの成長を再現する生物エネルギーモデルを成魚まで拡張し、さらに産卵された卵が仔魚、稚魚へと成長する間の死亡率を体長や成長に依存させて表現する個体群動態モデルと組み合わせることで、生物エネルギー・個体群動態結合モデルを開発しました。また、成魚の漁獲による個体数減少もモデルで表現できるようにしました。
1998年から2018年にかけて21年間の衛星データから求めた水温および餌料環境を与えた過去再現実験を実施し、2010年以降の個体数の増大には、水温と餌料環境が好適であることに加え、漁獲圧が適切に管理されていることが重要であったことが示しました。
研究内容詳細
https://www.aori.u-tokyo.ac.jp/research/news/2023/20230411.html
論文情報
雑誌名:「Frontiers in Marine Science」(4月11日付)
論文タイトル:Development of a bioenergetics and population dynamics coupled model: A case study of chub mackerel
著者:Ziqin Wang, Shin-ichi Ito*, Yabe Itsuka and Chenying Guo
DOI番号:10.3389/fmars.2023.1142899
URL:https://doi.org/10.3389/fmars.2023.1142899